贋作の傾向と対策

Dr.MatchPlayのワールド・シガー・ガイド

国内の正規代理店から購入したものでも贋物であることがある、というのが葉巻、キューバ産葉巻の醍醐味でありましょう。もちっ、滅多にないことですよ。
さて、私めも、見事に大当たり!を経験。いつか当らないかと密かに期待していたこともあり、気持ちは複雑でした。エッ、モノですか?よりによってCOHIBA ESPLENDIDOS!
          

先に写真をご覧になりたい方
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贋作の注意

贋作COHIBA ESPLENDIDOS

私が「大当たり」したこの贋作COHIBA ESPLENDIDOSは、
- 本物のと良く見比べて漸く疑問点が出てくるほどシールやスタンプの位置に至るまで精巧に作られていました。

が、しかし、よぉーく見ると、
- 箱全体の作りが貧弱で、箱の横幅が1センチ程狭い
- 箱に焼印してあるロゴマークの輪郭やボケていたり、蓋裏に貼られた紙のロゴマークの色にムラがあったり不鮮明である
- Habanos s.a.発行の保証書の紙質が悪く、印刷もズレている
- 下段左端にスペーサーとして置かれた杉角材の質が悪い
- リングの幅が一定でなかったり、印刷がズレていたり色がオレンジに近い
- 火付きが悪かったり燃え方にバラツキがあったりする

ということで、最も数多く出回っている贋作のひとつだったようです。

cohiba esplendidos

私は葉巻を購入すると記録を残し、どこで入手したのかが分かるようにラベルを貼っています。それによれば、残念と言うべきか、面白いことにと言うべきか、入手先は国内の正規代理店でした。実は以前から贋作の話はいろいろと聞いており、それなりに情報も集めていたのですが、私も火付きの悪さや燃え方でようやくおかしいと思い始めるまで、全く気付きませんでした。ですから、購入してから日数が経っていたのですが、1箱しかなかったものを買った私のことを覚えていてくれたらしく、そこも大変に驚いていました。
別に彼らに義理立てする必要は何もないのですが、彼らは悪気があって贋作を売っていたのではなく、彼ら自身贋作と気付かなかったようです。

贋作のタイプ(見て分かる・吸って分かる・不明)

-見ただけでおかしい贋作:
箱が雑だったり、ラベルの色がおかしかったり、長さが揃っていなかったり。
こういうものは明らかに悪意のある販売者が観光客相手に売るようなもので、信じられない位に安かったりします。

 
-吸ってみて「おかしい」と思う贋作:

最近は実際に吸ってみて「おかしい」と思うものが増えているようです。
紙巻たばこは点火して終わりまで均一に灰になりますよね。同じく上質の葉巻は点火してから喫い終わりまで均一に火がまわり、かつ、灰も硬くて白く灰皿の角でコツンとやらないと折れません。
ところが、質の悪い葉巻は波打ったように火がまわるどころか、灰はクネクネと曲がり色も黒く薄汚れており、また、いきなり途中から火が出たりします。これをトンネルと呼ぶらしいのですが、これはトリパ(FILLER)と呼ばれる葉巻の芯に相当するものやカポーテ(BINDER)と呼ばれる下巻きの部分が均質でないことに起因するようです。普通は葉巻の切断面を見れば大体分かるのですが、中には見えるところだけ良いものを切って入れることもあるようで、最終的には経験を積んだ人の触感以外に判断できない位に精緻に作られているものがあります(上記の体験ものはこのタイプでした)。

 
- 不明なまま?:
cohiba glass top1.JPG (13287 バイト) 例えば、私が持っているようなガラス蓋のものはそうです。ほとんどの人が口を揃えて贋物だとしますが、決め手がないものです。つまり、製造された記録はあるのですが年代や製造数が不明なものです。結局これは出荷元がどこであるのかということでしか特定できないと言われています。どこの工場の熟成保管倉庫から出荷されたかということですが......もちろん、私のものは本物ですよ(笑)
     

贋作の背景

なぜ贋作があるのか?

さて、では、なぜ贋作があるのでしょうか?? そして、代理店はなぜ気付かなかったのでしょうか??その答えはいたって簡単です。流通量が少ないにもかかわらず需要だけは伸びているためです(結果、品質は低下するは、値段は上がるは、贋物は出回るは、という悪循環の繰り返し)。
つまり、COHIBA ESPLENDIDOSそのものの生産量が少ないからです。
正規代理店でも思い出したように少量しか入荷せず、在庫リストに記載する余裕もないままに予約客が引き取りに来るような葉巻なのです。つまり、正規代理店の担当者の前を素通りするだけで、まともに見たり試したりする機会も少なく、また、お客の方も本物かどうかも分からないままに煙にしているという事情もあるようです。

贋作事情・土壌

贋作を、何処で誰が?ということについてははっきりしないことが多いようです。なぜなら、キューバから出荷されたものの中にすでに贋物が混じっていることがあるからです。また、品質にバラつきもありますから、現地に行き、どこの工場のどの保管庫から出荷しているということを確認しなければ、何が本物で何が贋物なのかはっきりしないのが現状だと思われます。
「キューバ生産」=「品質が一定でない」ということも真偽の判断を一層難しくしているのかも知れません。例えば1998年製造のものは需要に追いつくため増産体制をとったせいか品質が下がったと言う人もいいます。
DAVIDOFFがキューバでの製造を1991年に打ち切り、全てドミニカ産に切り替えたのは品質管理の観点からと言われています。
写真
DAVIDOFF 20th Annivasario Asia 

davidoff 20th

また、ケネディ大統領の決定による1962年以来の経済制裁措置によりキューバ産の葉巻は米国に輸入されていりません。そのために、フロリダまで100マイル程度にもかかわらず共産圏以外では旧宗主国であるスペインへの輸出量が最も多いようです。最近はカナダやメキシコへの輸出を奨励しているようですが、とにかく米国への持込はご法度です。しかし、1992年の葉巻流行以降、米国人はなんとかしてキューバ産のものを手に入れたがるという事実が、結果的に贋物を生み出す土壌が生成されているようにも思えます。
余談ですが、米国のみならずドミニカにもキューバから沢山の人たちが亡命したそうです。その中には先祖伝来のキューバ産タバコの種を大事に抱えて移った人も大勢いたようです。そして、キューバ産の葉巻に追いつけ追い越せということで現在の繁栄を迎えています。ですから、贋物ではありませんが、ドミニカ産の葉巻にもCOHIBAに代表されるキューバ産と同じ銘柄が作られています。味は好みの分かれるところですが、品質という点ではドミニカ産に軍配があがるかも知れません。ちなみに、米国で手に入る多くの葉巻はドミニカ産です。

     

贋作「被害」の結末

それで、私はどうしたか?

もちろん、太っ腹の私は「いゃぁ、とても面白い経験をさせてもらったよ、酒飲み話に最高だね、ウワッハハハハ!」の一言。
その瞬間に、一見客から金蔓でしかない旦那をすっ飛ばし、一気に御大尽様に昇格でした。だ、だって、その場(店)で他に何が出来たというのでしょうか。
おかげで、貴重な体験話を友人・知人・皆様に広く伝道できることになりました。、なかにはホンモノの贋物を見たいという方までいらっしゃいます。で、そのホンモノの贋物を本物と並べてデジカメで写真撮影しましたのでご覧下さい。

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購入前の確認事項

真作かどうかを見分けるための最小限の確認事項です。贋作技術もコンピュータを駆使して秒進分歩、被害を最小限に抑えるための最小限の注意事項とお考え下さい。

箱の外側・キューバ政府保証シールの変更

新しいキューバ政府保証シールが変更になったということを雑誌や他のサイトで見て知っておりましたが、現物は確認しておりませんでした。そして、つい最近届いた葉巻の外箱にその新しいシールが貼られているのを見つけました(写真:new seal)変更個所等については他のサイトで詳しく報告されている通りですが、

new seal.JPG (19082 バイト)

new seal and old seal.JPG (32120 バイト)

1.インクの色が濃くなっている。
2.シール中央下部に赤いインクで何やら製造番号のようなものが印刷されている。
3.紫外線を当てると別の図柄が浮き上がるらしいが、普通の照明下では判別できない。
ということ位は分かりました
(写真:new seal and old seal)

また、製造工場と製造時期を表すスタンプも変更されています(写真:new stamp 2000)
(04/30/00)

new stamp 2000.JPG (12857 バイト)

箱の外側

Habanosというロゴの入ったシールが貼られていること。ただし、キューバ政府がHabanos S.A.という名称を使い始めたのは1995年からになります。従って、後述する箱裏のスタンプと併せて確認する必要があります。(写真右)
Republica de Cubaと印刷されたキューバ政府保証シールが貼られていること。大きさは大小ありますが、細かいところまで鮮明であること。(上記の「新しいキューバ政府保証シール」を参照下さい。
habanos sticker (2).JPG (12008 バイト)
箱裏に1984年以前製造のものにはHECHO EN CUBA(MADE IN CUBA)の焼印、1985年から1994年の間に製造されたものにはCUBATABACO、1995年以降に製造されたものにはHabanos s.a.とTotalmene a mano(ALL HANDMADE)と押されていること。

3-1.jpg (12427 バイト)

3-2.jpg (12665 バイト)

1984年以前

1994年以前

いずれの場合もPL NNSUなどの製造工場と製造年月を表す記号が押されていること。(記号の読み方についてはこちらのページで解説しています、ご参照下さい)
インクの色が薄いこともありますので注意が必要です(写真 右)。
3-3.jpg (12410 バイト)

箱の内側

COHIBAなど蓋をあけると西班牙杉の薄板がはいっています。また、葉巻と葉巻の間にも西班牙杉の薄板が挟まれています。そして、その薄板の右上に指がかかる大きさの円形の切れ目が入っていること。ここが円形でなく真っ直ぐに切り落とされているようなものは贋作の可能性があります。(写真4)
但し、2000年に製造されたスタンプのあるMontecristo
には切り口が直線的なものあるということです。

inner cidar separator.JPG (14516 バイト)

写真4

small memo (2).JPG (18903 バイト) 葉巻の保管方法について4ヶ国語で書かれたメモが入っていること。紙の縁と印刷された飾り枠の余白が均等に揃っていること。また、その紙質がトレーシング・ペーパーであること。(写真5)
COHIBA Lenia 1492シリーズの場合には煙草

cohiba siglo memo (3).JPG (22647 バイト)

写真5

発見500周年を記念してSiglo I、II、III、IV、V

写真6

それぞれが製造されたことを4ヶ国語で説明したメモ入りであること。(写真6)

キャビネットの黄色いリボン

キャビネットとはスライド式の蓋のついた木箱で、木地そのままとニス掛けのものがあります。基本的には葉巻が50本入る大きさですが、現在は25本入りのものも存在しています。そして、キャビネット入りの葉巻はシガー・バンドもセロファン包装もされておらず、リボン掛けの状態で箱に収められています。
そして、そのリボンの色は黄色であり、リボン中央に各銘柄毎に工夫を凝らした紋章や文字が印刷されています。
写真は上から順に、
Ramon Allones 8-9-8 Varnished
Cohiba Robustos
Hoyo De Monterrey Double coronasそれぞれのリボンです。ただし、最近のCohiba Linea 1492 seriesの中には印刷のないものも存在していますので、あくまでも見分ける上での目安のひとつとお考え下さい。(05/12/00)

       

輸入国のシールマーク

これまでキューバ産葉巻の箱の外観について基本的な内容をご説明しました。そして、葉巻の箱には輸入した国によっていくつか異なる封印やステッカー類が貼られることになっています。該当国へ旅行され、葉巻を購入される際のご参考にどうぞ。

英国

EMS(English Market Selection)と印刷されたステッカーが箱左上隅に貼られています。これは英国市場向けの品質保証の証として貼られるようになったもので、贋作防止と販売(製造)時期を分かりやすくするために毎年秋口に色が変わります。

ems_stamp.JPG

1992年6月から1997年10月までは緑色、1997年11月から1998年9月までは桃色、1999年は青色、そして、2000年はゴールド(写真:右端です。('00.04.30)

西班牙(スペイン)
Ministerio de Economia y Haceienda Espanaという文字の印刷されたシール(写真2、箱底面)がキューバ政府のシールの隣に貼られています。

behind box via spanish.JPG (13937 バイト)

spanish seal2.JPG (8426 バイト)

写真2

写真 箱底面

カナダ
カナダの総代理店Havana House発行の関税支払済みを証するシール(写真4)がキューバ政府のシールの隣に貼られています。このステッカーの色も英国と同様に贋作防止と販売(製造)時期を分かりやすくするために毎年変えられる予定とのことです。

canadian seal.JPG (12259 バイト)

濠太剌利(オーストラリア)
濠太剌利と書いてオーストラリアと読ませるんですね。試しにかな漢変換したところ、出てきてビックリです......さて、オーストラリアでは正規輸入品には写真の通りアレキサンダー・グループと印刷されたステッカーが箱右前面から底にかけて貼られています。

australian importer.JPG (13662 バイト)

また、箱蓋には「SMOKING CAUSES HEART DISEASE」と貼られております。 australian warning1.JPG (9211 バイト)

別バージョンで「SMOKING KILLS」というのもありますが、何もそこまで言わなくっても、という感じです。思わず、オーストラリアの葉巻屋さん、そして、葉巻愛好家のみなさん、頑張れ!と声援したくなります。

australian warning2.JPG (6766 バイト)
独逸(ドイツ)
これは妻が土産に買って来てくれたTRINIDAD FUNDADORESの箱で発見しました。彼女がハンブルグの街を歩いていると、とんでもなく古い煙草屋が目に入り扉を開けたそうです。その時、店の中は店の人らしい初老の紳士と奥の方に客らしい若い男性がふたり。初老の紳士の「どんな御用か?」との問いかけに気後れしそうな雰囲気......若い男性が何しに来たんだろうと言わんばかりに馬鹿にしたように自分のことをクスクス笑っているように思えた(らしい)そこで「キューバの葉巻......ロメオかトリニダッド」と言うと、初老の紳士ばかりでなく奥の方から感心したような歓声が上がったとか。

german seal.JPG (20524 バイト)

さて、ドイツ国内で販売されている正規品の箱右前面にドイツ政府のシール、そして、箱裏に正規輸入代理店の5th AVENUE CIGARSのステッカーが貼られているようです。 german importer.JPG (15450 バイト)

「あなたの健康を損なうおそれがありますので吸いすぎに注意しましょう」表示

それぞれの国の言葉で「あなたの健康を損なうおそれがありますので吸いすぎに注意しましょう......」に類する文が印刷されたステッカーが貼られています。これも目安のひとつと考えても良いかも知れません。

                  

<Dr. MachPlayの弟子による補足説明>

初めまして、Dr. MachPlayの門下生「一休(いっきゅう」です。師匠の説明ではちょっと難解な部分もありますので、若干の補足説明をさせていただきます(当方、弟子のため、屋号・顔イラストも持っておらず、筆名は「一休」。せめて「リトル・ゲバラ」位にして頂きたい旨を師匠に申請しているところです)。
1)贋作:
一般にモナリザとか骨董品世界で贋作と表現されています。しかし師匠は、同等レベルで愛するシガー(=葉巻)の偽物をそのように表現しております。コピーです、コピー!
2)煙と灰と消えるコピー:
いや、コピーは微妙に違うな。ローレックスとか、ブランドバッグでもないしなぁ。
3)新潟魚沼産コシヒカリ、または黒豚:
まさに、コレです。師匠が言いたいのは! 新潟魚沼をキューバに置き換えればバッチリです。新潟魚沼のど真ん中で出来たコシヒカリが COHIBA ESPLENDIDOS。又は、黒豚でないのに黒豚と表示するニセモノの事です。(ヤバいなぁ、師匠の愛する葉巻を黒豚に例えるなんて・・・)